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2013. 06. 02  
世の中には凄い人がいる、と、身体の芯から揺さぶられる経験。このご褒美があるから辛い人生も生きて行けるんだなと思ってきましたが、エミリーに出会ったのはこの人生のご褒美。絶対好きなはずよと友達に言われていて予感はしていたけれど、やっぱり衝撃でした。今年のトレーニングのハイライトであるこのBreath of Life Conferenceの幕を閉じるのにふさわしい最後の3日間でした。

エミリーコンラッドはダンサー、振付師としてキャリアを始めましたが、のちにコンティニュアムムーブメント(Continuum Movement)という独特な動きを生み出し、優れたムーブメント指導者として受賞する一方、この動きが脊髄損傷や小児麻痺による四肢不随の人々に次々と奇跡をもたらした事で医学界からも注目を浴び、人間の根源に踏み込んで健康をもたらす画期的な動きとして現在教師の養成が世界中で進んでいます。フェルデンクライスやピラティス指導者だけでなく、ロルフムーブメントの教師でもあるので、ロルファーで彼女を知らない人はいない。

何かとてつもなく人類に大事な発明をする人というのは数奇な人生を歩んだりするものですが、彼女もそのようで、彼女の代表著書Life on Landを読んだときには本人に会うのに怖じ気づいたほどでした。魔女、という印象。

この本、前半が半生を綴った自叙伝、そして後半がコンティニュアムムーブメントの成り立ちです。ざっとかいつまんでいうと:

ナチスドイツを逃れてアメリカに移住したユダヤ人の子孫として、ブルックリンのゲットーで育った子供時代。戦時下の政府に貢献した優秀な技術者である父親は、頭はいいけれど人間的には壊滅的で、悲惨な家庭でした。暴力に耐えられなくなった母が幼い彼女を置いて家を出て行った後は、彼女は親戚の家に預けられ、父親に対する血も凍るような憎しみと怒りを抱えながら、自分の中に抑えがたい破滅衝動があるのを感じていました。常に鬱と破滅指向を行ったり来たりしながら問題児として教育も終えませんでしたが、思春期に出会ったダンスでエネルギーが開花し、ダンサーとモデルとして自活できるようになりました。ある日20年近く彼女を捨てていた父親が、全く身勝手な理由で彼女に和解を持ちかけたとき、そのとき心臓の弱っていた彼がどういうことになるかを承知で電話口で罵倒しました。数日後、父親は心臓発作でなくなりました。

この出来事のあと彼女は一時廃人になって、精神的に一度死にました。そして、死んでいった魂の代わりに降りて来たのがコンティニュアムのモチーフでした。このあたり、まるでニューエイジのいうwalk in/ walk outの実況中継・・。(ある特別な契約のもと、一人の人間の人生の途中で魂の入れ替わりがあることがあるといわれています。)

あまりにも前半生とコンティニュアムが「降りて来た」あとの彼女に整合性がなくて、文体もがらっと変わるし同じ著者が書いたものとは思えず、私も本人に会うまで彼女がどういう人かわかりませんでした。ただ、ものすごい直感の働く人、エネルギーの強い人、「生まれ変わった」あとの彼女は人類のために生きる人、なんだろうな、と。

本人に会った印象。小柄で可愛くて、すごく、女性。
今年80歳だけどどう見てもマイナス30歳。確かにたるみはあるけれど、肌が瑞々しくて、健康。声も澄み渡っていて、身のこなしはとことん軽くて自由で、交通事故以来煩った緑内障がすこし辛そうだけれど、もの凄く澄んだきれいな目。そう、本当にきれいな人でした。本当に男性にモテてきた人生のようですが、うんうん、いかにも。

そして、失礼にも大変意外だったのが頭脳明晰で(というのは著書のとくに前半はいわゆる高等教育を受けた人の文章でなかったので)、回転が早く、理系。彼女自身人生にお父さんの影響が強いと言っていたけれど、確かにものすごく頭のいい人。難しい概念を完結、理論明快に説明してくれる。それも、こっちがついて来れているかを常に気遣いながら。自分の境界はしっかり持っているけれど、誰でも受け入れるような柔らかさとおおらかさと明るさと茶目っ気があって、すごく優れた教師です。すごい、天は2物も3物も与える。

私は最後にこっそり個人的な質問をしてしまったのです。「お父さんのなくなる前と後のご自分に「コンティニュアム」を感じてますか?著書でまるで別の人のような印象を受けたのです。お父さんに対する怒りというのは、いまはどうなったのですか?」

お父さん、という言葉を投げかけたときに、彼女のお茶目な瞳にさっと感情が走ったのがわかりました。今は父に対してそういう感情はもう全然ない。あれは、ただ、経験だったんだと思っている、というのが彼女の答えでした。瞳は嘘をつけない。感情は、完全になかったものとして抹殺する事はできないし、する必要もないのかもしれない。彼女の瞳に救われた。ああ、私たち人間よね。だからここにいるのよね、と、私も心の中で挨拶しました。

自分の前半生を書くのにはものすごく勇気が必要だった、とみんなの前でも言っていたけれど、この背景なくしてコンティニュアムの生い立ちは語れないな、と確かに感じました。あの前半生を書いている時の彼女には、「降りていた」んだそうです。「人は書くときには媒体になるものだから。」・・まったく同感。

そしてうまれたコンティニュアムムーブメントとはどういうものか。

・・つづく。
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プロフィール

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Author:rolfertakami
鎌田孝美(Takami Kamata)

http://www.takamirolfing.com

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ヨーロッパロルフィング協会に所属する、
ヨーロッパで第2号の日本人ロルファーです。
英国スクールオブホメオパシー
アドバンスプラクティショナーコースに在籍し
現在臨床を行っています。

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内側に深くしまいこんだこだわりを、抱きとめ、見つめ、解放し、
かわりに内側で眠る可能性に光を与える。
身体が目覚め、失ったものを取り戻していく過程を
みなさまと楽しんでいきたいです。

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・ヨーロッパロルフィング協会認定
公式アドバンスロルファー
・同ロルフムーブメントプラクティショナー
・直傳靈氣師範
・全米ヨガアライアンス認定
ヨガインストラクター
・陰ヨガインストラクター
・ソースポイントセラピー認定施術者

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受講料:60ユーロ


参加お申し込みを受け付けております。
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Takami Kamata

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