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2014. 10. 07  
(今年も)ノーベル文学賞候補に上げられてる村上春樹って知ってる?と唐突に娘に聞かれ、この子は知らなかったのかと驚く一方、どう説明していいか言葉に詰まってしまいました。村上春樹を知らない人に村上春樹をどう紹介するか?そもそも娘に勧めていいんだろうか。

彼が世界的にウケているのは知っていますがとくにヨーロッパでは彼のファンは多い。ナカタとおなじくらい有名かもと思ったことさえあります。イギリスの老舗の本屋に村上春樹の特設コーナーがあり、1Q84の日本語版が平積みになっているのを見て驚いた記憶があります。

なぜ村上春樹はここまで海外でウケるのか。

1)吸引力。そのシュールで独特のワールドは、麻薬でデカダンで現実逃避の世界。説教臭さが皆無な脱力した世界。(テーマや主張がはっきりしていて押し出しの強いものが多い海外作品にくらべ、そういうものが一切ない分妙な吸引力があって、何がいいたいんだ、どこまで煙に巻くんだ、と面食らいながら、ついその先を見たくなってしまう)
2)彼の描くデタッチメントの世界はクールで都会的。
3)主語があいまいな日本語の典型である源氏物語やら川端と違って、日本語ぽくなく他言語に訳しやすい。
4)知的。メタファーの使い方が天下一品。彼独特の修辞表現は、気取っていて鼻につくけど、やっぱり絶対彼しかおもいつかない。
5)性描写の生々しさ(作品全体にみなぎるあり得なさに比べ、性描写だけが妙にリアル)
6)人間の暗部をえぐりだす筆力。1Q84のカルトの教祖や、多崎つくるに出て来るアカなどには、ぞっとするくらいリアルな質感がある。


いや、こんな理屈っぽく説明しなくたって、たぶん好きな人は単にハマってしまってるんだと思います。そういう作家です。

毛嫌いする人も多い作家なので、もし何も知らない人に一冊勧めるとしたら。

活字にあまり抵抗のないひとへ:

ねじまき鳥クロニクル(やっぱり金字塔)


村上ワールドに共感しそうな人なら:

羊をめぐる冒険(初期の村上ワールドの典型)


草食化した男子に、病んだ女子に:

ノルウェーの森(これは娘にはとても読ませられない。私が長年処分出来ない本と告白するのも憚られる。)


無難に収めたいのなら:

エッセイや翻訳本。この人は不思議なことに、翻訳しても翻訳されても、村上ワールドが損なわれない。


私も、嫌い嫌いといいながら相当読み込んでいるのをバラしている。


ちょうど先日ドイツ人はコミットするけど日本人はコミットしない、と書いたところでした。村上春樹ってちょうどそのデタッチメントの典型でした。村上好きが感情移入する「僕」は、「やれやれ」が口癖でいつも逃げ半分、自意識ばかりが発達したナルシストでエゴイスト。嫌いな人はその部分にたまらなくイライラする。でも、この夏日本に行った時、クライアントさんから、村上春樹自身がまさにそのコミットメントについて話していると教えてもらったのです。その方にプレゼントしていただいたのが「村上春樹、河合隼雄に会いに行く」という本。

この両者の対話はものすごく面白かったです。村上春樹の真摯な部分がとてもあっさり書かれていて、ああこの人本当はやっぱり自覚していたのかと。表現者としてレトリックや構成に凝るのは一種のサービスで、自閉症を貫き人生に向き合うことから逃げていた訳ではなかったのかと。「僕」にもう噛み付きたいくらいあたまに来ていた私は、私青かった、やっぱりこの人賢い、と思ったのでした。

河合隼雄は私がもうずっと敬愛して著書を読み続けてきた人で、彼が村上春樹に渡した言葉のなかに、私が長年勉強し続けてきたことへの答えがいくつもちりばめられていた。分析化、言語化は治癒に結びつかないばかりか、傷を深めることにも繋がる、中間がある、というくだりなど。私が日独ハイブリッドの強さといわれたとき連想したのもこれです。

歳を重ねて、時代に課されたデタッチメントからのデタッチメントをしはじめたのかなと思えた村上春樹がもしノーベル文学賞をとったら、今後どう社会にコミットするのか楽しみです。


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鎌田孝美(Takami Kamata)

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ヨーロッパロルフィング協会に所属する、
ヨーロッパで第2号の日本人ロルファーです。
英国スクールオブホメオパシー
アドバンスプラクティショナーコースに在籍し
現在臨床を行っています。

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内側に深くしまいこんだこだわりを、抱きとめ、見つめ、解放し、
かわりに内側で眠る可能性に光を与える。
身体が目覚め、失ったものを取り戻していく過程を
みなさまと楽しんでいきたいです。

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・ヨーロッパロルフィング協会認定
公式アドバンスロルファー
・同ロルフムーブメントプラクティショナー
・直傳靈氣師範
・全米ヨガアライアンス認定
ヨガインストラクター
・陰ヨガインストラクター
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受講料:60ユーロ


参加お申し込みを受け付けております。
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Takami Kamata

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