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2014. 10. 09  
なんで連日村上春樹のことばかり気になるのか不思議なのですが、やっぱり私も今彼を通してこの問題にコミットせよということのようで、今日もしつこく続き。

私は好きな表現者は(嫌い嫌いといいながら村上春樹はやっぱり好き)その人が魂を込めた作品に耽溺して妄想しつづけたいので、あまり生の本人を知りたくない。たぶん本人も、晒されている部分でめいっぱいサービスしている分、知られていない部分を守りたいはずで。

そういう理由で村上春樹も、実は小説以外には手を出したことがないのです。あの村上ワールドの耽溺が欲しいのであって、それ以上の情報はノイズにしかならないから。エッセイをお勧めしたのは、みんながいいというからで、実は私自身は読んだことない。実感でいうと、村上春樹の小説は、長ければ長いほど耽溺度が増して面白い。(だからねじまき鳥はやっぱり私の一冊)

こうして村上春樹に対し何の参考資料もないまま完全に自分の憶測だけで知ったようなことを言ったり書いたりしてきてしまったわけですが、今回プレゼントという形で対談集を読み、期せずして生春樹を垣間みたら、自分の憶測とは全然違った本人像を見てしまった。そして新たな大発見の続出。この本をこのタイミングでいただいて読んだのも運命としか思えない。

1)まず大きく驚いたのが、彼は小説を書くときにspontaneousでなければいけない、と言っているところ。この人は緻密な計算をしてから書くのでなく、行き当たりばったりで書いていたのか。あんなに込み入ったプロットがいくつも同時に立ち上がって、結末が勝手にやって来るなんて、信じられない。どこか緻密さがただよう三島由紀夫が今ひとつ苦手な私がなぜこの人にはハマるんだろうと思っていたら、この人も「書かされる」タイプだったなんて。(ちなみに村上春樹も三島由紀夫が苦手だそう。)1Q84がなんであんなにばかげた結末になったのか解った気もします。

2)また彼は小説を書くときには「井戸の底に入」ったり、ねじまき鳥でいう「壁抜け」(=意識下で起こる一種のワープ現象)をしたり、「黄泉の国に入って行く」ので、そのときに体力がいるから普段身体の鍛錬をしているそう。小説をセッションに置き換えたら、まるきり私じゃないの。

これに対する河合隼雄の注も面白かった。壁抜けには途方もないエネルギーが必要で集中力が必要で体力が必要、そのときには自分の考えを超えたものになっている、という下り。実感でその通りだと思っています。

河合隼雄のこの一節にもびっくり:
「ぼくは何をしているかというと、偶然待ちの商売をしているのです。みんな偶然を待つ力がないから、何か必然的な方法で治そうとして、全部失敗するのです。ぼくは治そうとなんかせずに、ただずっと偶然を待っているんです。」・・激しく共感。

3)そして、生春樹は、あっけない素直さ。(小説の「僕」は、たぶん彼の暗部だか開放を求めるインナーチャイルドだかで、)書くこと自体が自分の癒しになっている、と言っている。彼は自己顕示欲で書き続けているのではなくて、救われたくて書いてきたのか・・・。

最近、表現者と言われる方々と話していて、私たち結局同じものに駆り立てられて生きているのね、と感じることが多かったのです。そうしたら、河合隼雄のこの言葉:

「その人にとってものすごく大事なことを、生きねばならない。しかし、それをどういうかたちで表現するか、どういうかたちで生きるかということは、人によって違うのです。ぼくはそれに個性がかかわってくると思うのです。生き抜く過程のなかに個性が顕在化してくるのです。」(「村上春樹、河合隼雄に会いに行く」P167。)

村上春樹は小説家として。
河合隼雄は臨床心理学者として。
(同列に並べるには憚られるが)私はまだ不定形な未熟者として。
それぞれにとってものすごく大事なことを生きないといけない。


もういちどコミットメントに戻ります。

村上春樹が体現していたデタッチメントというのは、日本風のベタベタに対するノーでした。一緒じゃないとダメ、個性があってはダメ、という日本社会に対しての、ノー。

単なる体制に対するノーなら、だれでも出来る。それが団塊の世代の人たちでした。彼らの浮かされたような炎上と、その後のつまらない収まり方を端で見ていて、単純だ、ずるい、と感じた私たち。そしてそのバブルの私たちを見て、同じことを感じたはずの氷河期世代。そしていま、ノーといえる「体制」そのものもあいまいになってしまい、宙にういた「個」が行き場のないデタッチメントを彷徨っている。というか、日本がそもそも、村上春樹が言うように、なににコミットしていいのか解らない国。

では、どうすればいいか。

河合:コミットメントは、一般に考えるように「なんでもしてやろう」とか「頑張ってやろう」というのではなく、外見的にはむしろデタッチしているかのようにさえ見える。つまり「静かで深いコミットメント」なのです。(同、P18。)

村上:コミットメントというのは何かというと、人と人との関わり合いだと思うのだけど、これまでにあるような、「あなたの言っていることはわかるわかる、じゃ、手をつなごう」というのではなくて、「井戸」を掘って掘って掘って行くと、そこでまったくつながるはずのない壁をこえてつながる、というコミットメントのありように、ぼくは非常に惹かれたのだと思うのです。(同、P84。)

ノーというだけじゃなくて、暑苦しくかかわるんじゃなくて、それでもコミットはできる。自分にとってもの凄く大事なことに。このあたりが個が超あやふやな日本でのおとしどころかもしれません。

どうコミットするか、というのを何十年にも渡って体現してくれていた村上春樹。こんなきれいに表現していたとは知らなかったけれど、彼のめざすものは何となく作品を通して感じていた気もします。

ちなみにこの対談集を読んでピンと来てしまいました。思わず調べたらやっぱり村上春樹の5行も「壬」だった。ブルータス、おまえもか・・・。













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ヨーロッパロルフィング協会に所属する、
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アドバンスプラクティショナーコースに在籍し
現在臨床を行っています。

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内側に深くしまいこんだこだわりを、抱きとめ、見つめ、解放し、
かわりに内側で眠る可能性に光を与える。
身体が目覚め、失ったものを取り戻していく過程を
みなさまと楽しんでいきたいです。

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・ヨーロッパロルフィング協会認定
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