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2015. 01. 17  
休暇明けに耐えられない腕の痛みと親指の痺れを訴えロルフィングに駆け込んで来られたBさんのことを、ご本人の了承を得てシェアします。残念ながらそのときの私の処置とホメオパシーで痛みが即座に引いてくれなかったので翌日ドクターを訪ねたら、手根管症候群かビタミンB12欠乏症か橈骨神経が死にかけてるかどれかだと言われ、ある強い痛み止めの注射をされました。この痛み止めは、流通する中で最強の痛み止めでした。それでも痛みは引かず、翌日もう一度その注射を受けたら、痛みは消えました。

それから数日後、手がとんでもない腫れ方をして、ここに来てドクターは一言も言わなかった痛み止めの薬の副作用が明らかになりました。吐き気、発汗、集中力の欠如、心拍数の低下、頭痛、精神異常、そして異常事態を知るに至ったエレファントアーム。そのときテンポラルに橈骨神経を保護するためにガッチリとテーピングをしていたのですが、プロ(トレーナー)の仕事によるテーピングで、こんな腫れ方になることは通常ありません。

実は本人の判断で摂っていた睡眠導入剤と、よかれと思って同時に摂った同等の作用をもたらすハーブは一緒に取ってはいけないものだったということも後で解りました。その睡眠導入剤はヨーロッパでは危険だとして禁止されているものなのですが、簡単にネットで手に入れられるのです。ハーブは自然のものだから安心と思われがちですが、医薬品と併行して摂る場合には絶対に注意が必要です。

色々なことが重なって大慌てしましたが大事には至らず、間もなく一連の症状は治まり、2週間たった今は親指の痺れだけが気になる、ということで改めてロルフィングに見えました。

ロルフィング10シリーズを終え、定期的にメンテに来てらっしゃる彼女のこの痛みが、構造的なものでないことは明らかでした。手根管症候群やビタミンB12欠乏症はあり得ますが、手根管症候群に結びつく手の動きをしていないしそういう構造要因もなく、ビタミンB12はストレスで大量に消費される。橈骨神経が死にかけてたらこんなに自由自在に動かせない。単純に思いつくのはストレスで頸椎6番が狭窄したかずれたかで橈骨神経を刺激しているのですが、なぜそれが急に起こったか。頸椎6番は呼吸に深く関係しているので、胸がつぶれるような思いをなさったんだろうなと思ってはいましたが、ストーリーに踏み込まないのがロルフィングのいいところ。

今はすっかり良くなったのですがもともと腰椎4番にドクターたちからこぞって再起不能と言われていた弱点があったのでチェックしたところ、そこが大丈夫で代わりに腰椎3番が不安定。腰椎3番というのはおへそのちょうど裏側にあたる部分で、一般にずれやすい4番に較べて比較的安定しているので、ここだけ不安定になるのは珍しい。

おへそってご存知身体の中心です。一般に腰痛というのは、はしごを上って途中でそれを外されたような精神状態を現します。メッセージは「私には支えがない」。人生のもっとも中心に位置するものを失う経験をされたのかもしれない。

本人気づかなかったけれど案の定腰椎が腕と同じブラックボックス。腰椎をひとつひとつ、足からのつながりで確かめて行く練習をしました。とにかく腰椎がちゃんと骨盤に支えられ、骨盤が足で支えられている、とつかめるまで。そこまでやってやっと問題の頸椎。背骨の存在をひとつひとつ確かめる作業に終始してのセッションでした。腕には結局最後まで一切触らないままでした。でもその後、無感覚だった前腕がちりちりしてきたとのことでした。


何度も繰り返すのですが、急性の症状というのは、生命力が上がったときにしか起こりません。生命力が上がって、いまならずっと抱えているもっと慢性の問題に向き合うことが出来る、と身体が決意をしたときに、生か死の一大決心を持って臨むのです。彼女はドクターに見放された以前の症状がすべて改善されて、いままで出来なかったことが出来るようになって自信がつき、本当に別人のように強くなったら、たくさん欲が出てきました。そして、もっとも辛いことに向き合う準備ができたであろう今、これが起こりました。

神経性の痛みというのはもう本当に、正気を失うような苦悩をもたらします。痛みはもちろん神経が引き起こしているのですが、この神経がトリッキーなのです。なにが神経を刺激するのか。私たちの身体には縦横無尽に神経が張り巡らせているから、言って見れば常に神経は隣り合う組織から圧迫されている。それが耐えられない不快症状に変わるスイッチは、実はまだはっきりと解明されていない。

ひとつは、痛みは記憶なのです。痛みは筋膜に記憶されるという記事を最近読んで、筋膜リリースがなぜ痛みを取るかの説明になるなと思っていたのですが、要するに神経を問題箇所から引き剥がしても、構造を良くしても、痛みが即座になくなる訳ではない。痛みは記憶を引きずっていて、痛みを引き起こしていた構造的要因が解決されてもなお、痛みだけが残るということがよくあります。

これもいつも言う例ですが、どんな検査をしても「どこも悪くない」と言われても耐えきれない腰痛によりありとあらゆる痛み止めを試し最後に車いすとモルヒネの生活に陥っていたある老婦人が、ある日モルヒネの適量を誤って昏睡状態になり、目を覚ましたときに記憶喪失になったら痛みも消えていた、という有名な話があります。痛みは記憶である、ということを利用したのが、電気ショックで一種の記憶喪失を創り上げる治療です。

筋骨格系、臓器、血液、どんな検査をしても「どこも悪くない」と言われ、原因のわからない痛み。ここまで来ると大抵は匙を投げられ、向精神薬が処方されます。ここからは本当の苦難の始まりです。自分の身体がどんどん自分のものではなくなって行き、魂はうつろになり、そして私と離れたからだは薬に依存を始める。痛みを感じられるからだのほうが良かった、などとは思えないけれど、痛みと引き換えに失うものが魂だったら。

痛みは記憶。大抵、もっとも「痛い」記憶。全身全霊で泣き叫び続けている私がそこにいる、ということ。

セッションの後に、たぶん最初は受け入れられなかったと思うのだけど、と、私の感じていたことを話しました。その通りだったということでした。





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Re: 光を・・・
> お久しぶりです。TWITERのあげました。
> >>>
> 痛みと記憶 http://rolfingfrankfurt.blog.fc2.com/blog-entry-387.html
> 自分自身も事故での腰の痛みを何とかしようと、、意識で対処するか、タンパクシステムで対処するか、それらのバランスか、、
> 救いは痛みを感じなくなる時があった記憶のみに、光を見いだせています。この光がなければ進む道が見えてない。
文天さん、明けましておめでとうございます。記事読んでくださってありがとうございました。
文天さんの場合は、交通事故、というはっきりした理由があって、痛みを引き起こすであろう構造的理由もはっきりしていて、だから構造を整えたら痛みがなくなる可能性はとても大きいです!今の話は、構造的にはなにも問題がない人の、精神的なものが痛みにどう影響するかの例です。

文天さんにはぜひセッション続けていただきたいです。今年の夏、またお会い出来ますように。どうぞどうぞ、お大事に。孝美
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プロフィール

rolfertakami

Author:rolfertakami
鎌田孝美(Takami Kamata)

http://www.takamirolfing.com

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ヨーロッパロルフィング協会に所属する、
ヨーロッパで第2号の日本人ロルファーです。
英国スクールオブホメオパシー
アドバンスプラクティショナーコースに在籍し
現在臨床を行っています。

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内側に深くしまいこんだこだわりを、抱きとめ、見つめ、解放し、
かわりに内側で眠る可能性に光を与える。
身体が目覚め、失ったものを取り戻していく過程を
みなさまと楽しんでいきたいです。

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・ヨーロッパロルフィング協会認定
公式アドバンスロルファー
・同ロルフムーブメントプラクティショナー
・直傳靈氣師範
・全米ヨガアライアンス認定
ヨガインストラクター
・陰ヨガインストラクター
・ソースポイントセラピー認定施術者

・・・・・・・・

<セッションのお申し込み&お問い合わせ>

rolfertakami@gmail.com
+49(0)6171 279 0088

・・・・・・・・・
2017年冬 東京セッション
12月27日(水)〜1月3日(水)


2017年 直傳靈氣講習会(フランクフルト):

前期10月20日(金)14:30〜18:30
  10月21日(土)9:30〜12:30
       14:00〜17:00 
後期10月20日(日)9:30〜16:00
        
      
直傳靈氣交流会(フランクフルト)
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10月18日(水)14:00-17:00
内容
ホメオパシーとの付き合い方:
ーファーストエイド
ーミニコンサルテーション
Abby Takarabe, Peggy Bideホメオパスを
聖地スワジランド、オーストラリアから
講師にお招きします。

参加費用:
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タロット講座

10月23日(月)
13:00−16:00

講師:大塚英文さん
受講料:60ユーロ


参加お申し込みを受け付けております。
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Profile:

Takami Kamata

Certified Advanced Rolfer®
Certified Rolf Movement®Practitioner
Jikiden Reiki® Shihan
Registered Yoga Teacher
SourcePoint Therapy® Practitioner

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