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2015. 04. 12  
昨晩、一昨日からフランクフルトではじまったフォーサイスカンパニー最後の公演Kammer Kammerを観に行ってきました。15年前の作品で、フランクフルト市立バレエ団時代のプリマとプリンシパルが主役を演じるゲイとレズビアンの交差する人間関係を描いた作品だったそうなのですが、こんなに解りやすいテーマなのに解らなかったの?と後で言われるまで内容が解らなかったという、よくわからない作品でした。

Kammerというのはドイツ語のZimmer(部屋)と英語のCam(カメラ)をかけたもの?のようで、舞台、とくにモニターの仕掛けと芸術性には感動しました。ステージがいくつかの部屋で仕切られ、一番手前で踊ってくれるシーン以外は観客は壁のわずかな隙間かモニターでしか観られない。断絶、同時並行、関係性の平行、こういったモチーフはフォーサイスの作品には決まって出てくるのですが、最後にあらためて初期からこのテーマが前面に押し出されているのが解って、なるほどと原点を見る気がしました。

主役の二人がずっとしゃべり通しなのですが、それが何について言っているのかさっぱり解らない。いや英語がわからないというより、言語がひっかかりを持たず、右から左に抜けて行ってしまうのです。何が言いたいのかがさっぱりわからない。後期の作品だと、照明も音響もうんと減って、セリフももう何語でもない変な声での会話になるのですが、これに繋がっていった理由が解る気もします。きちんとした文章なのに、まったく意味を持たない音の羅列にできるってすごい。

説教などがいい例だと思うのですが、人間てある程度以上の音量と情報量になると防衛機構が働いて聴覚が自動的にシャットダウンし、音は入って来るけれど聴いてない、という状態を作りだせるみたいです。(聴覚過敏症や自閉症はこの機能が停止した状態。)まったく意味不明のモノローグをずーっと聞かされて、なんだか情報を拾おうという回路が断たれてしまう。観客とのコネクションも、舞台でのコネクションも、全部断ったところに現れるのは、ぐるぐる回る脅迫的な一人の思考回路。

これは私の印象なので、他の観客はスタンディングで賞賛をしていたような素晴らしい内容だったのでしょうが、私には、正真正銘わからなかった〜〜〜〜〜。関係性についてあれだけ掘り下げて来た(ように見えた)カンパニーが、最後にたたむ前にこんなにヒステリックな一本調子の作品で終わるのも、常に人の裏をかくことを楽しむかのような彼特有のウィットなのかもしれません。

フォーサイスカンパニー解散後は、トゥシューズを履いて踊るダンサーたちによる、よりダンスを前面に押し出したカンパニーが後を引き継ぎます。プロのダンサーによるダンスパフォーマンスを存分に堪能出来るようになります。フランクフルトの観客にはおそらくそちらの方が受けがいいでしょう。でもこれでもかとアクを見せつけられて来た私などは、このひねった表現に妙に愛着が湧いてしまって、アクのないパフォーマンスにちょっと拍子抜けしてしまうかもしれない。実際へんな作品ばかり踊って来たフォーサイスカンパニーのダンサーたちは、カンパニー解散後、若いダンサーも含めて全員が、新しいカンパニーには残らずフリーになる道を選んだことも、このあたりの事情を物語っています。

この作品は19日まで続きます。一つのパートを複数のダンサーが踊るので、日によってカラーがまるで違うものになるのも面白い。観客席によって、踊るダンサーによって、作品がまるで違うものになるというのは一つの作品を何回かみて知りました。初期の頃の超自我が強い個性的でアクの強いダンサーたちが去って、性格のいいダンサーがそのパートを踊ると、まるでテーマが違うものになってしまうのも面白い。昨日さっぱり解らなかったのも、超個性の強いオリジナルメンバーの不在によるところも大いにあるだろうな、と思いました。私は最終日にもう一度行ってきます。

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鎌田孝美(Takami Kamata)

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・ヨーロッパロルフィング協会認定
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